雅楽演奏家・講師の岩佐堅志
はじめまして。
私は日本の伝統芸能である雅楽(ががく)の演奏家・講師の岩佐と申します。
私が、奈良県天理市出身で、さらに天理市内の学園を卒業という御縁もあり、この度、当コラムを書かせていただくことになりました。
これから、定期的に雅楽に関する事柄を色々と書き綴っていきたいと思います。
雅楽のイメージ
まず、皆さんの雅楽に対するイメージはどんなものがあるでしょうか?
だいたいは結婚式で耳にしたり、初詣の時に…といった感じだと思います。実際、雅楽は宗教と深く関わっていて、それも神社のイメージが強いと思います。
しかしながら、雅楽は実は仏教音楽なのです。仏教が伝来した時期、同じように音楽や舞などが伝来しました。これが雅楽の源流の一つとされています。
そもそも、この「雅楽」という言葉はとても新しい言葉なのです。明治時代、鎖国状態であったわが国は文明開化を急ぎ、西洋のものを多く取り入れましたが、もちろんここに音楽も含まれます。
それまでは「楽」の一文字で表されていました。
源氏物語には「楽の音いとをかし」といった感じで取り上げられていますね。
西洋楽に対し、新しい呼称が必要になって「雅楽」という言葉が生まれました。
「雅正の楽」という意味です。雅正とは正しい状態にある、という意味です。
ちなみに雅楽には対義語があって「俗楽」。
雅楽以外の音楽は全て俗楽、と呼ぶわけです。
まあ、そんな呼称は浸透しませんでしたが…。
天理は宗教都市でありまして、ある意味雅楽が日本一盛んな町なのかもしれません。
私自身、この天理の地で雅楽を学びプロになった訳ですから、私の素地を創った町とも言えます。
今後は何らかの形で恩返しが出来れば、と考えています。