雅楽・朗詠の中に「
「二星
二星というのは織姫と彦星の事で、つまりは七夕にちなんだ漢詩と言えます。我々雅楽演奏家は、七夕に近づくとこの朗詠を歌う機会が増え、夏を実感する、という次第です。
大阪府交野市に星田妙見宮という神社があります。この神社では毎年七月七日には七夕祭があります。私は不思議なご縁でこの神社と繋がりました。
仮にAさん、としておきましょう。Aさんは熱心な生徒さんで、私はずっと舞の指導をさせて頂いておりました。が、別の雅楽団体とご縁が出来、少し私と疎遠になりました。どうされているのかなあ?と思っていたところ、何と膵臓がんを患い、余命いくばくも無いとのこと。そして、あっという間に旅立たれました。折りしも、その日は博雅会の関西公演の日でした。翌日お通夜に伺ったところ、棺の中に雅楽の譜面が納められていたのですが、ちょうど広げられていた曲は双調の「
このAさん、神社に狛犬を奉納するというのが遺言だったそうで、先日その除幕式に行ってきました。その神社こそ、星田妙見宮様です。除幕式を終え、その場で有志一同により朗詠「二星」を演奏いたしました。氏子さん達も非常に喜んで下さり、これで付き合いが終わってしまうのは勿体無いと思っておりました。
後日、宮司先生よりお電話を頂き、是非七夕祭の際に朗詠「二星」を奉納して欲しい、とのありがたいお言葉を頂きました。もちろん断る理由など無いです。今年が最初になりますが、星田妙見宮という場所で、七夕の日に朗詠「二星」を奉納する。これは凄い事ですし、是非ずっと続けていきたいことです。
Aさんは亡くなり、私を始め生徒さん達もとてもショックな出来事でした。しかしながら、Aさんには素晴らしいご縁を繋いで頂きました。毎年7月7日には、そのAさんの事を思い出し、朗詠「二星」を歌うことになります。記憶に残る、こんなに素晴らしいことがあるでしょうか?
もちろん観覧自由です。時間のある方、是非に星田妙見宮にお越し下さいませ。19時~です。