私には2つの顔があります。
1つは雅楽演奏家。
もう1つは雅楽講師。
私はこの2つの顔を使い分けて日々活動しています。
まず、雅楽演奏家、として。
本来、雅楽演奏家は「
ただ、雅楽界の暗黙の了解のようなものがあって、皇居に詰める宮内庁式部職に属する演奏家のみ「楽師」という敬称が使われます。
例えば、伊勢神宮にも雅楽の専門職の方がおられますが、この方達は「神宮楽師」と呼ばれています。
ということで、我々は「楽師」なんていう敬称は恐れ多すぎて使えません。
「能楽師」や「狂言師」があるのですから、「雅楽師」という敬称があって良さそうなものですが…、やはり「雅楽」という名称の歴史の浅さから定着しなかったのでしょうね。
ちなみにかの東儀秀樹さんは「雅楽師」と名乗っておられますが…。
ともあれ、雅楽を演奏して報酬を得るのですから「雅楽演奏家」で事足ります。
演奏家としての仕事は大きく分けて2つあり、1つは純粋に雅楽を音楽として位置づけ、それを披露するというお仕事。
現場はホールであったりイベントであったり。
要は宗教行事が絡まないお仕事です。
もう1つは神社やお寺・天理教教会などの宗教行事に際して演奏するお仕事。
どちらかといえばBGMに近いですね。
我らはこれらの雅楽のことを「
BGMだからといってあなどるなかれ。
その行事の次第を完璧に頭に叩き込み、神職(ないしは僧侶)の所作に合わせてよどみなく演奏します。
付楽次第で式自体の進行が左右されますので、とても重要な役回りなのです。
付楽には、やはり経験が重要です。日々の積み重ねしか経験値を増やす方法はありません。
雅楽講師のお仕事も大きく2つあります。
マンツーマンレッスンとグループレッスンです。
これはレッスンの形態でもありますが、マンツーマンの方は向こうから直接私に習いたい、と要望があり指導するパターンです。
これは元々の要望がありますので、それに指導を準拠させるだけなので比較的楽です。
もう1つはグループレッスン。
数人のグループに一括で指導するパターンです。
この形態では、大体がそのグループの長みたいな方がおられてその方を中心に進めます。
経費(私の報酬)は参加者で頭割りだったり、主催者全部持ちだったりするので、生徒さんは安価で指導を受けることが出来ます。
ただ、このあたりは稽古のモチベーションと非常に深く関わってきます。これはまた別の機会に詳しく取り上げます。
よく受ける質問があります。
演奏家と講師、どっちが好きですか?というもの。
いつも答えるのは
どっちも好き
です。雅楽を始めて30年以上経ちますが、未だに結論が出ません。
恐らく、死ぬまで出ないと思います(笑)