コラム 岩佐堅志の雅楽家ブログ

雅楽演奏家と雅楽講師

+5

私には2つの顔があります。

1つは雅楽演奏家。

もう1つは雅楽講師。

私はこの2つの顔を使い分けて日々活動しています。

まず、雅楽演奏家、として。

本来、雅楽演奏家は「楽師がくし」という敬称で呼ばれます。

ただ、雅楽界の暗黙の了解のようなものがあって、皇居に詰める宮内庁式部職に属する演奏家のみ「楽師」という敬称が使われます。

例えば、伊勢神宮にも雅楽の専門職の方がおられますが、この方達は「神宮楽師」と呼ばれています。

ということで、我々は「楽師」なんていう敬称は恐れ多すぎて使えません。

「能楽師」や「狂言師」があるのですから、「雅楽師」という敬称があって良さそうなものですが…、やはり「雅楽」という名称の歴史の浅さから定着しなかったのでしょうね。

ちなみにかの東儀秀樹さんは「雅楽師」と名乗っておられますが…。

ともあれ、雅楽を演奏して報酬を得るのですから「雅楽演奏家」で事足ります。

演奏家としての仕事は大きく分けて2つあり、1つは純粋に雅楽を音楽として位置づけ、それを披露するというお仕事。

現場はホールであったりイベントであったり。

要は宗教行事が絡まないお仕事です。

もう1つは神社やお寺・天理教教会などの宗教行事に際して演奏するお仕事。

どちらかといえばBGMに近いですね。

我らはこれらの雅楽のことを「付楽つけがく」と呼びます。

BGMだからといってあなどるなかれ。

その行事の次第を完璧に頭に叩き込み、神職(ないしは僧侶)の所作に合わせてよどみなく演奏します。

付楽次第で式自体の進行が左右されますので、とても重要な役回りなのです。

付楽には、やはり経験が重要です。日々の積み重ねしか経験値を増やす方法はありません。

雅楽講師のお仕事も大きく2つあります。

マンツーマンレッスンとグループレッスンです。

これはレッスンの形態でもありますが、マンツーマンの方は向こうから直接私に習いたい、と要望があり指導するパターンです。

これは元々の要望がありますので、それに指導を準拠させるだけなので比較的楽です。

もう1つはグループレッスン。

数人のグループに一括で指導するパターンです。

この形態では、大体がそのグループの長みたいな方がおられてその方を中心に進めます。

経費(私の報酬)は参加者で頭割りだったり、主催者全部持ちだったりするので、生徒さんは安価で指導を受けることが出来ます。

ただ、このあたりは稽古のモチベーションと非常に深く関わってきます。これはまた別の機会に詳しく取り上げます。

よく受ける質問があります。

演奏家と講師、どっちが好きですか?というもの。

いつも答えるのは

どっちも好き

です。雅楽を始めて30年以上経ちますが、未だに結論が出ません。

恐らく、死ぬまで出ないと思います(笑)

+5
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

岩佐堅志

奈良県天理市出身。 12歳より雅楽を始め、15歳より演奏・演舞を中心としたプロ活動を開始する。
専攻は横笛(龍笛・高麗笛・神楽笛)・左舞・琵琶。横笛・琵琶を上明彦氏、左舞を池邊五郎氏に師事。
◇雅楽演奏ユニット「博雅会はくがかい」を結成し自ら代表に就任。
以来、博雅会としても全国各地で演奏活動を展開している。
◇個人的な演奏活動としては、雅楽の世界には珍しいマルチプレーヤーとして活躍している。
◇雅楽管楽器の演奏においては鳳笙・篳篥をも含む全てに通じ、雅楽の舞のレパートリーは約20曲を数え、雅楽における絃楽器・打楽器や古代歌謡にも明るい。
雅楽曲の作編曲なども手がけ、舞に関しては、全ての演目において「舞譜」を作成する。
◇雅楽講師としてもECCアーティストカレッジ雅楽コース講師(~2006)、NHK文化センター雅楽講座講師(神戸)、京王友の会雅楽講座講師(東京)、富山県小矢部市無形文化財・高知山内神社、他多数で講師を勤めるなど、全国各地に門下生を持つ。
◇「異変プロジェクト」と称し、地域の雅楽演奏活動を盛り上げる活動を行っており、現在東京・尾張一宮・神戸などで活動中。

-コラム, 岩佐堅志の雅楽家ブログ
-

© 2021 天理系