コラム 岩佐堅志の雅楽家ブログ

雅楽といえば天理教

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雅楽を演奏している人というのは、ほとんどが宗教関係の方です。

仏教・神道と色々ありますが、やはり天理教の方が断トツに多い。

これは何故なのでしょうか?

まずは何故雅楽演奏者が宗教関係者に多いのか?

それはやはり「宗教音楽」としての側面があるからでしょう。

元々雅楽は、日本古来の音楽と、大陸・半島から海を渡ってきた音楽と、新たに日本で作られた音楽の融合体です。

ちなみにこの「雅楽」という言葉が使われだしたのは明治三年以降らしいですよ。

明治以降とは知っていましたが、詳しい年度は最近知りました。

では、それ以前は何と言っていたか?「がく」です。古典文学に「楽の音いとをかし」とありますね。あれですよ。

話が逸れました。三つの源流の中で、日本古来の物は今でも神道の行事で使用されています。

また、外国からの伝来系の音楽は仏教で使用されていました。

外国からの音楽、今で言いますとロックなどの洋楽ですね。

日本には無かった、最先端の音楽です。

それを仏教儀式に最初に取り入れたのは誰か?

何とあの聖徳太子です。

聖徳太子自身も笛を吹いたとかで、雅楽曲の中には聖徳太子をモデルにした曲も残っています。

天理教では、明治中期から雅楽の演奏を始めたという記録が残っています。

天理教というのは様々な鳴物を使用します。

雅楽に馴染みやすかったのでしょうね。

以来、天理教では雅楽人口が爆発的に増えます。

その原動力は何といっても学校のクラブ活動でしょう。

天理大学雅楽部は全国的にも有名ですし、三高校のクラブには150名を超える部員がいるそうです。

いや、全国的に見てもこんな都市は他にはありません。

これらの卒業生が全国各地に毎年散らばっていくわけですから、なるほど雅楽人口は天理教が断トツなのですね。

そういう私も、天理高校の雅楽クラブに在籍していました。

結果、今それで食っているわけですが現場は天理教教会だけではありません。

お寺にも行きますし、神社にも行きます。

その時に感動することがありました。

お寺のお坊さんも、神社の神主さんも、雅楽の譜面は天理教のものを使用しているのです。

電子復刻版『雅楽 龍笛譜』天理教道友社編

理由は安いから。天理教の雅楽人口の多さは、それだけ楽器なり楽譜の需要を生みます。プラスチック製の雅楽器も天理教が開発しました。

天理教というのは雅楽に対して普及という意味ではものすごい貢献をしている訳です。

モノが沢山売れると、結果商品は安くなります。最近値上がりしましたが、天理教の雅楽の楽譜は61曲が収録されたったの1,000円、という驚異的な安さです。そりゃ皆買うわな。

この雅楽、例えば「越殿楽えてんらく」という曲があります。

当たり前ですが、仏教で使用する「越殿楽えてんらく」も、神道で使用する「越殿楽えてんらく」も、天理教で使用する「越殿楽えてんらく」も、全て同じ曲です。ということは、雅楽というツールを使えば、宗教間の垣根は簡単に越えられるということです。私の友人はほとんどが雅楽きっかけですが、天理教はもちろん僧侶・神職と本当に宗教関係者が多いです。ここまで多宗教の友達が多いのも珍しいのではないでしょうか?

世界のいざこざは、ほぼ宗教観から来ると言われています。全世界の人が宗教音楽として「越殿楽えてんらく」を吹けば良いのに、と妄想したりします。もしかしたら、将来雅楽が世界を救う世の中が来るかもしれませんよ。

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岩佐堅志

岩佐堅志

奈良県天理市出身。 12歳より雅楽を始め、15歳より演奏・演舞を中心としたプロ活動を開始する。
専攻は横笛(龍笛・高麗笛・神楽笛)・左舞・琵琶。横笛・琵琶を上明彦氏、左舞を池邊五郎氏に師事。
◇雅楽演奏ユニット「博雅会はくがかい」を結成し自ら代表に就任。
以来、博雅会としても全国各地で演奏活動を展開している。
◇個人的な演奏活動としては、雅楽の世界には珍しいマルチプレーヤーとして活躍している。
◇雅楽管楽器の演奏においては鳳笙・篳篥をも含む全てに通じ、雅楽の舞のレパートリーは約20曲を数え、雅楽における絃楽器・打楽器や古代歌謡にも明るい。
雅楽曲の作編曲なども手がけ、舞に関しては、全ての演目において「舞譜」を作成する。
◇雅楽講師としてもECCアーティストカレッジ雅楽コース講師(~2006)、NHK文化センター雅楽講座講師(神戸)、京王友の会雅楽講座講師(東京)、富山県小矢部市無形文化財・高知山内神社、他多数で講師を勤めるなど、全国各地に門下生を持つ。
◇「異変プロジェクト」と称し、地域の雅楽演奏活動を盛り上げる活動を行っており、現在東京・尾張一宮・神戸などで活動中。

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