No.22

MUSIC

岩佐堅志の雅楽屋ブログ

太田豊ソロリサイタルvol.2

博雅会でも共演しております雅楽奏者の太田豊(おおた・ゆたか)氏が最近、自身のリサイタルシリーズを開始しました。昨年9月に第1回目、そして第2回目を先週末に開催しました。第1回目は彼の師匠である安齋省吾(あんざい・しょうご)先生との共演で、私も打物(打楽器)で賛助出演をさせて頂きました。今回は雅楽界のレジェンド、太田氏曰く「雅楽界のマイケルジャクソン」(笑)豊英秋(ぶんの・ひであき)先生との共演でした。私は出演の予定はありませんでしたが、裏方のお手伝いとして参加してきました。

太田氏は雅楽奏者というよりも音楽家、という敬称の方が合っていると思います。元々はアルトサックスのプレーヤーで、フジロックフェステイバルに出演した過去もあります。その彼が、最近雅楽に寄ってきました(笑)。もちろん悪いことではありません。同じ演奏家として刺激のある活動です。

今回のリサイタルはまず太田氏の神楽笛独奏から始まりました。演目は「庭燎」。宮中で行われる御神楽の際、降神の為に最初に演奏される秘曲です。続いて英秋先生が登場し、琵琶(太田氏)と筝(英秋先生)による「平調掻合(かきあわせ)」と「陪臚(ばいろ)」。普段は吹物の後ろに隠れて聞こえ辛い絃物のみの演奏。続いて朗詠「新豊(しんぽう)。一ノ句は歌が英秋先生で笛付物(伴奏)が太田氏、二ノ句は太田氏が歌で英秋先生が笙付物、三ノ句は両方で歌、と三種類の構成。雅楽の歌物はハモることなくユニゾンで歌うのですが、2人とは思えない声量で観客を驚かせておりました。第一部の最後は壱越調「胡飲酒序・破」を笛(太田氏)と笙(英秋先生)で演奏。篳篥が抜けた編成ですが、逆に笛と笙がよく耳に入ってくるような感じでした。
第2部は舞楽。左舞「青海波(せいがいは)」を太田氏が舞い、伴奏は笙(英秋先生)とその弟子・柴垣治樹氏の太鼓のみ、という斬新な編成。笙はいつもメロディを奏でることなく和音で伴奏を担当するのが常なのですが、この日ばかりは完全に主旋律となっておりました。私も左舞を専攻しているので分かりますが、左舞は常々篳篥か笛の旋律を頭の中で歌いながら舞います。その旋律が抜けているのですから、舞いづらい事この上ありません。しかしながら、まるで源氏物語の一場面を思わせるような演出でした。

私がいつも意識するのは、雅楽演奏の際には余計なものは足さない、要は創作はしない、ということ。今回もそうですが、雅楽の通常の編成から何かしらを「引く」のです。引くことによって従来あるものを引き立たせる、という考え方です。雅楽の演奏方法の中に「残楽(のこりがく)」というものがあります。八種類の楽器が一同に奏するのが雅楽管絃の演奏なのですが、そこから段々と抜けていって最後は篳篥と琵琶と筝だけ「残って」楽を奏するのです。この形式を拡大解釈している、と考えていただいて結構です。足すのではなく、引くことによって新しい側面を模索する、という画期的な考え方であると思います。

さて、私も雅楽奏者の端くれです。このような演奏に立ち合い、刺激をもらわないはずがありません。近い内に「岩佐堅志ソロリサイタル」を開催します。ただ、太田氏の形式を丸々真似をするのは気が引けますので、私の良さを生かした、私にしか出来ないリサイタルを企画しています。場所は大阪。企画が公演にまで実現すれば、いち早くこの場で発表いたします。ご期待くださいませ!

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