No.17

MUSIC

岩佐堅志の雅楽屋ブログ

奈良と雅楽

16-2
今年3月、平城宮址が「国営平城宮跡歴史公園」として生まれ変わりました。国営の公園になったのです。我々は「平城宮址(へいじょうきゅうし)」と呼んでいましたが、どうやら「平城宮跡(へいじょうきゅうせき)」に呼称が変わったようですね。これだけでも隔世の感があります。
私の若い頃は、平城宮址(敢えてこちらを使います)はただの広場。大極殿の礎石が残った広場に過ぎませんでした。廻りには何もありません。雅楽の楽器は思う他大きな音がします。しかし、平城宮址のような公園では思う存分練習が出来ます。よく雅楽仲間と大極殿跡で合奏を楽しんだものです。そして夜十時になると消灯。街灯が全て消え、真っ暗になります。本当の真っ暗です。しかしながらまだ合奏は続きます。気が付くと終電が終わっている時間に。西大寺駅へのその帰り道にあったカラオケボックスで始発を待つ、そんな青春時代を過ごしておりました。いささか極端ですが…。
雅楽は飛鳥・奈良時代に諸外国から伝来した音楽と、日本古来の音楽が融合し出来上がった音楽とされます。この辺りは、専門書やサイトを見た方が間違い無いのであまり深くは触れませんが、奈良時代というのは雅楽の創世記であったと考えて間違いがありません。ざっくり、現場レベルで認識しています話をさせて頂きますと、雅楽にも新しい・古いがあります。新しい雅楽、というのは平安時代に我が国に伝わった音楽を指し、雅楽の世界では「新楽(しんがく)」と呼びます。一方、古い雅楽は奈良時代に伝わった音楽を指し、「古楽(こがく)」と呼びます。楽器編成も異なり、新楽が羯鼓(かっこ)を用いるのに対し、古楽では壱鼓(いっこ)を用います。羯鼓は撥(ばち)が二本あり、左右の手で打ちますが壱鼓は撥が一本。右手のみで打ちます。現在では壱鼓はほとんど用いられず、羯鼓を代用します。その際、左手の撥は使わず楽器の前に付き立て、右手の撥のみで羯鼓を奏します。この奏法を「壱鼓掻(いっこがき)」と呼びます。
この古楽が伝来した奈良時代は、仏教伝来の時期と重なります。仏教と共に我が国に伝来した音楽とも言えます。天平勝宝四(752)年、東大寺大仏開眼供養の導師としてインドの僧であった婆羅門僧正が来朝した際、随従してきた林邑(りんゆう:現在の南ベトナム地方)の僧仏哲が伝えた音楽を「林邑楽(りんゆうがく)」と呼び、またその曲数が八曲であったことから「林邑八楽(りんゆうやがく)」とも呼びます。我々は古楽=林邑楽、という認識です。この林邑楽ですが、現在でも人気の演目が数多く含まれ(「蘭陵王」「迦陵頻」「胡飲酒」「陪臚」など)、意外に現在にも根付いています。
昔の話になりますが、東京の方で「奈良にまつわる雅楽曲をチョイスしたコンサートを」とのご依頼を頂きました。東京の人って、本当に奈良が大好きなのですよ。雅楽の教室でも、奈良の話をするだけで時間を全部使ってしまい、クレームが来るどころか皆さん大喜びでしたよ。コンサートの話に戻します。頭をひねりましたが何も思いつかず、結局林邑楽の演奏に落ち着きました。ただ一曲だけ、奈良時代の歌人である大伴家持(おおとものやかもち)が詠んだとされる歌詞を持つ曲である「海ゆかば」の雅楽バージョン、というのがyoutubeにアップされていて、採譜して演奏してみたところ「先の大戦を連想させる」とのお叱りを頂きました。いやはや、難しい…。
ちなみに、この国営平城宮跡歴史公園ですが今回様々な建物が建ちました。その中の一つ、「平城京いざない館」では、奈良時代の音楽を聴けるコーナーがあります。実は!その音源のレコーディングに参加しました。この前聴きに行ってみましたが、しっかりと判別できました(私は打楽器と筝を担当しています)。また映像の収録にも参加しています。テーマは「奈良時代の宴会」です(笑)。是非にイワサを探しに、平城宮跡までお出かけ下さいませ!

COLUMN

おすすめコラム

こちらも読まれています

import_contacts
READ MORE

1、2の、3、☆C☆!

本物とマジック

import_contacts
READ MORE

元理系男子の舞台と花火と脚本戦記

演劇と天理大学

import_contacts
READ MORE

RQ Lover

レースクイーンの罪

import_contacts
READ MORE

天理市民なら知っておきたい○○!

これだけは知っておきたい!天理市の雪

import_contacts
READ MORE

どきっ! 猿でも楽しめるネット冒険!

天理市民(関西人)を理解する為に必要な20+1の説明書

import_contacts
READ MORE

万巻の書を読み、ホンドーリをゆく。

「home」青空亭

import_contacts
READ MORE

常識を検証する力

自分自身を信じること

NEW
import_contacts
READ MORE

子育てママのためのあな吉手帳と私

子育て傾聴 バンビのおうち

Ⓒ 2017-2018 Tenrikei