No.12

MUSIC

岩佐堅志の雅楽屋ブログ

大道芸と雅楽

岩佐です。早いもので今回でこのコラムも12回目、丁度一年です。拙文にお付き合い下さり、誠にありがとうございます。今後も、雅楽演奏家ならぬ雅楽屋イワサが雅楽についての情報を発信していきますので、引き続きご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。

東京は三軒茶屋で開催されました「三茶de大道芸」というイベントに参加してきました。
二日間で17万人が来場するという大きなイベントです。今回、ご縁がありまして初参加となりました。
大道芸というのは何か新しいもののように感じますが、実は昔は「散楽(さんがく)」と呼ばれ、奈良時代(あるいはもっと古く)に大陸から日本に入ってきた、大変古い芸能です。今と同じように火を吐いたり刀を飲む・水に潜り魚の真似をするなどの奇抜な曲芸であったようです。大宝律令によって設置された音楽を司る役所である雅楽寮(うたまいのつかさ)には、雅楽を演奏する部署のほかに散楽を司る部署である「散楽戸」が置かれ、朝廷が保護をする芸能でした。しかしながらその庶民性の強さや猥雑さからか、桓武天皇の時代、延暦元年(782年)に散楽戸制度は廃止されてしまいます。以降、散楽は物真似芸は猿楽と呼ばれるようになり、ここから今の能楽が生まれ、観阿弥・世阿弥という天才を輩出します。曲芸的な要素は後に出雲阿国の出現を待って歌舞伎が生まれます。人を笑わせる滑稽芸は、後に狂言へと発展します。人形を使った芸は、後の人形浄瑠璃になります。つまりは、今日本で伝統芸能と呼ばれているほとんどのルーツが散楽である大道芸であります。雅楽との繋がりは、この散楽の伴奏で演奏された曲が今でも残っています。「褌脱曲(こだつきょく)」と呼ばれ、「剣気褌脱」「輪鼓褌脱」「曹娘(そうろう)褌脱」「補臨褌脱」の四曲があったそうですが今では「剣気褌脱」「輪鼓褌脱」の二曲が残っています。想像するに、前者は剣を使ったジャグリング、後者はリングを使ったジャグリングの際に演奏されていたのでしょうか?
さて三茶de大道芸の話に戻します。私は定期的に、下高井戸の居酒屋で雅楽ライブを開催しています。チャージ無し、投げ銭のみの緩いライブです。少しでも雅楽の普及になればと思い開催しているのですが、そのお客様の中にこの三茶de大道芸の総合プロデューサーの方がおられました。当たり前の話ですが、その方は前述の歴史の話を私以上にご存知の方で、是非に雅楽をイベントに組み込みたい、と熱心に誘っていただき、出演が決まりました。しかもフィナーレの大トリを飾れと。あまりにもの厚遇に少しビビッておりました。

演奏はもちろん褌脱曲を…といきたいところでしたが、初参加であり雅楽の普及が目的でありますので「越殿楽」や「陪臚」など、雅楽の中でもオーソドックスな演目を中心に演奏しました。

二日間に渡るこのイベント、最後には「夜会」と呼ばれるフィナーレがあります。この日参加したアーティストが全員でパフォーマンスをするという大々的なもので、その最初に我々博雅会による舞楽と、舞踏集団である大駱駝艦様によるコラボ演奏をさせて頂きました。これがまた凄かった…。何も語りません。写真だけ載せておきます。

最後は火を吹いて終わり。後にも先にも、こんな現場は初めてです。我々は淡々と舞楽を演奏したに過ぎないのですが…、ともかく凄い体験をしました。
三茶de雅楽、は毎年10月に三軒茶屋周辺で開催されます。東京の方、是非に足を運んでみて下さい!大道芸、ですので全てのパフォーマンスが観覧無料です。気に入った芸には投げ銭を!
芸能の根本を見た、そんな現場でした。

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